住宅ローンの税金関連

住宅ローン控除とは?基本的な仕組みを図解で分かりやすく解説

住宅ローンの審査業務の経験がある、元銀行員のタツヤです。

住宅ローンを組む際に、必ずおさえておく必要があるのが「住宅ローン控除」ですね。

医療費控除や生命保険控除など、様々な減税(控除)制度がありますが、住宅ローン控除のお得度は数ある控除制度のなかでも最大級です。

人にもよりますが、10年間で100万円~300万円ほどのお金がキャッシュバックされます。

ただ、税金制度って本当にややこしいですよね。。

当記事では、「税金とか数字が大嫌い!」という人でも分かるように、図解をしながら、丁寧に住宅ローン控除の基礎についてお伝えしていきます。

ミホ
ミホ
税金とか控除ってややこしいわよね。結局この制度も使わなくて終わりそう。。
タツヤ
タツヤ
数ある減税制度の中でも、住宅ローン控除のお得度は最大級です!使わないなんてもったいな過ぎます!!

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは「住宅ローンを借り入れしている人の金利負担を軽減するための制度」です。

確定申告をすることで、一年間で支払った所得税や住民税の一部がキャッシュバックされて戻ってきます。

一般的には、住宅ローン減税・住宅控除・住宅減税など様々な言われ方をしていますが、それら全て住宅ローン控除と同じ意味です。

所得控除ではなく、税額控除

減税制度は、医療費控除・生命保険料控除・地震保険料控除・配偶者控除など色々ありますが、これらは全て「所得控除」と呼ばれるものです。

それに対して、住宅ローン控除は「税額控除」といって、所得控除よりさらに有利な減税制度になっています。

所得控除の仕組み

所得控除というのは一年間の収入から控除額を差し引く方法です。収入から控除した額だけ課税所得が少なくなるという仕組みになっています。控除された所得を元に所得税が算出されます。

税額控除の仕組み

それに対して、税額控除というのは直接、所得税から控除額を差し引く方法です。

所得控除が、所得税を算出する元となる所得の額を減らしているのに対して、税額控除は直接所得税から控除額を差し引きます。

税額控除は直接、所得税から控除するので税金が減る金額も大きくなりますし、いくらお金が戻ってくるのか分かりやすいので、非常にメリットの大きい控除制度になっています。

ミホ
ミホ
控除額が10万円だったら、10万円所得税が低くなるってことね!
タツヤ
タツヤ
そうです!具体的には、源泉徴収の所得税が10万円低くなるわけではなく、口座に10万円キャッシュバックされます!

主な住宅ローン控除制度

実は住宅ローン控除制度には、いくつか種類があります。具体的にどういった住宅ローン制度があるのか、全体像を把握しておきましょう。

住宅ローン減税制度

いわゆる一般的に「住宅ローン控除」「住宅ローン減税」などと呼ばれている制度で、正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれています。詳しい仕組みやメリットについては、次の項目で説明します。

すまい給付金制度

すまい給付金とは、2014年に消費税が8%に引き上げられたのに伴い、消費税の負担を軽減するために導入された制度です。

住宅ローン減税というのは、所得税や住民税の一部から税金を控除する制度なので、当然ながら所得税や住民税を多く支払っている、高所得者ほど有利なシステムになっています。

言い換えれば、所得が低い人ほど住宅ローン減税の恩恵を受けることができず、消費税の負担が重くのしかかってしまうのです。

そのためすまい給付金は、住宅ローン減税の恩恵を受けづらい「所得の低い人ほど給付される額が多くなるような制度」になっています。

消費税が8%の場合

収入 給付基礎額
475万円~510万円 10万円
425万円以下 30万円
425万円~475万円 20万円

消費税が10%の場合

収入 給付基礎額
675万円~775万円 10万円
450万円以下 50万円
425万円~525万円 40万円
525万円~600万円 30万円
600万円~675万円 20万円

このように、収入が低い人ほど、給付額が多くなっています。

投資型減税

先ほど説明した「住宅ローン減税」「すまい給付金」の対象者は「住宅ローンを利用する人のみ」です。

つまり、住宅ローンを利用せずに自己資金のみで住宅を購入する人は、住宅ローン減税とすまい給付金を受けることができないのです。

そのため、自己資金のみで住宅を購入する人も所得税を控除できる制度として、投資型減税が存在します。

ざっくりとしたポイントは次のようになっています。

  • 長期優良住宅や低炭素住宅のみ利用可能
  • 自己資金(ローンなし)で購入した場合のみ利用可能
  • 1年で控除できない場合は、翌年の所得税からも控除
  • 最大控除額:65万円

投資型減税は一般的な住宅ローン減税と同じように、所得税から直接控除されます。ただし、この減税制度を受けることができるのは長期優良住宅や低炭素住宅のみです。

また、投資型減税でできる最大控除額は65万円になっています。

投資型減税の控除額の求め方

控除額の求め方は簡単です。家の床面積を次の式に当てはめればいいだけです。

43,800円×床面積(㎡)×10%

例えば、床面積が100㎡の場合、

43,800×100×10%=43万8,000円

43万8,000円が所得税の控除額になります。仮に一年間の所得税が30万円だった場合、残りの13万8,000円は翌年、所得税から控除することができます。

ただ、投資型減税の最大の控除額は65万円ですので、この点はご注意ください。床面積が多ければ多いほど控除額は増えますが、65万円を超える額については控除ができません。

ミホ
ミホ
色々な減税制度があるのねー!
タツヤ
タツヤ
住宅の減税制度と言えば、住宅ローン控除制度ばかり言われますが、特にすまい給付金は対象者も多いので、要チェックです!

住宅ローン控除の金額や上限

それではここでこの記事の本題である、住宅ローン控除制度について詳しくお伝えしていきます。ポイントは以下の通りです。

  • 毎年の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除
  • 所得税で控除しきれない分は住民税から控除

はじめにもお伝えした通り、住宅ローン控除は所得税から控除される制度です。ざっくりと、毎年住宅ローンの残高の1%分が所得税から控除されると考えれば大丈夫です。

また、控除額が多くて所得税から控除できない場合は、余った額が住民税から控除される仕組みになっています。

新築住宅の場合

借入限度額 控除期間 最大控除額
認定住宅 5,000万円 10年 50万円
一般住宅 4,000万円 10年 40万円

※認定住宅:長期優良住宅・低炭素住宅
※住民税の最大控除額:1年で13.65万円

まずは新築のケースで詳しく見てみましょう。一般的な住宅の場合、控除の対象となるのは4,000万円までのローンです。4,000万円のローンの1%の40万円が一年間で控除できる上限になっています。

控除期間は10年間なので、40万円×10年で控除額は最大で400万円になります。

すまい給付金の最大給付額が50万円で、投資型減税の最大控除額が65万円なのに対して、住宅ローン減税制度の最大控除額が400万円です。いかに住宅ローン控除制度がお得な制度か分かると思います。

また、長期優良住宅や低炭素住宅の場合、一年間の最大控除額が50万円で10年間で最大500万円の控除が可能になります。

控除額が多くて所得税だけでは控除できない場合は、住民税からも控除することが可能だとお伝えしました。ただ、一年間で住民税を控除できる最大額は13万6,500円までになっています。

中古住宅の場合

中古住宅の場合、新築の控除制度とは少し異なっています。

借入限度額 控除期間 最大控除額
認定住宅 3,000万円 10年 30万円
一般住宅 2,000万円 10年 20万円

※認定住宅:長期優良住宅・低炭素住宅
※住民税の最大控除額:1年で9.75万円

中古住宅の場合は、新築住宅より控除額が少なくなります。一般住宅の一年間の控除額の上限が40万円なのに対して、中古住宅は半額で20万円です。

一年間の上限が20万円で、控除期間が10年なので、10年間で最大200万円の控除が可能になります。

また、控除額が多くて所得税だけでは控除できない場合、住民税から控除できるのは新築住宅と同じです。ただ、一年間で控除できる最大額は9.75万円までです。

ミホ
ミホ
10年間で車が買えるくらいの控除額になりそうね!!
タツヤ
タツヤ
住宅購入は一生で一番大きな買い物と言われるだけあって、国も負担軽減のために減税制度を充実させています!

住宅ローン控除額の簡単な求め方

ここまで読んで頂いて、「結局自分はどれだけ控除されるのかよく分からない!」と思った方も多いと思います。住宅ローン控除制度は非常に良い制度なのですが、少しややこしいのが欠点です。

ただ、それぞれの人に合った、住宅ローン控除額の簡単な求め方があるのでそちらをお伝えします。

新築住宅の場合

  • 住宅ローン残高の1%
  • 40万円(一般住宅)、50万円(認定住宅)
  • 所得税+住民税(13.65万円)

求め方は簡単です。この3つの中で一番低い額が実際の住宅ローンの控除額になります。

例えば、次のようなケースで見てみましょう。

  • ローン残高の1%:25万円
  • 一般住宅:40万円
  • 所得税+住民税:36万円

この場合、実際に適用される住宅ローンの控除額は25万円になります。

中古住宅の場合

  • 住宅ローン借入額の1%
  • 20万円(一般住宅)、30万円(認定住宅)
  • 所得税+住民税(9.75万円)

中古住宅の場合でも同じように、この3つの額の中で一番低い額が住宅ローンの控除額になります。

年収・借入金別の住宅ローン控除額の一覧

年収・借入金別で住宅ローン控除額がいくらになるのか、まとめましたので、参考にしてみてください。

夫(正社員)妻(正社員)の二人暮らしの場合

年収 2,000万 3,000万 4,000万
900万円 160.2万円 251.9万円 346.6万円
300万円 167.3万円 169万円 169万円
400万円 180.2万円 231.9万円 232万円
500万円 160.2万円 250.3万円 279万円
600万円 160.2万円 251.9万円 333.5万円
700万円 160.2万円 251.9万円 346.6万円
800万円 160.2万円 251.9万円 346.6万円

※住宅ローン減税とすまい給付金を合わせた額

このケースでは夫婦ともに共働きで扶養家族がいないケースで計算しました。

扶養家族がいると扶養控除によって所得税と住民税が減ります。なので、扶養家族が多いほど所得税や住民税が少なくなり、住宅ローン減税の控除額も少なくなります。

夫(正社員)妻(パート)子どもの三人暮らし

次は扶養家族が二人いるケースで見てみましょう。

年収 2,000万 3,000万 4,000万
900万円 160.2万円 251.9万円 346.6万円
300万円 85万円 85万円 85万円
400万円 157万円 157万円 157万円
500万円 180.2万円 227万円 227万円
600万円 160.2万円 247.8万円 269万円
700万円 160.2万円 251.9万円 330.8万円
800万円 160.2万円 251.9万円 346.6万円

年収が多い人は所得税や住民税の支払額が多いので、扶養控除の額を引いても、まだ多くの所得税・住民税を支払う必要があります。

そのため、扶養家族がいても、年収が高い人ほど住宅ローン控除額に影響は出ません。ただ、年収が低くて扶養家族がいる人の場合、控除できる所得税・住民税がなくなるので、住宅ローン控除ができる額も少なくなってしまいます。

つまり、住宅ローン控除制度は、年収が高くて扶養家族が多くいる人ほど有利な制度になっているということです。

ミホ
ミホ
家は扶養家族が多いから減税効果は少ないかな。
タツヤ
タツヤ
扶養家族が多くても、実質的に所得税と住民税が払わなくてもいいくらい減税されるってことはやはり凄いことです!

よくある質問とその答え

Q.多く借りる方が住宅ローン控除がお得になる?

住宅ローン控除制度はローン残高が多ければ多いほど控除額が大きくなる傾向にあります。

そのため、不動産会社などのプロも含めて、一部の人からは「ローンをたくさん借りる方が、住宅ローン減税の控除額も大きくなるから得」と言われています。

しかし、これは間違いです。そもそも住宅ローン控除とは住宅ローン利用者の金利負担を軽減するための制度です。

あくまでも金利負担の「軽減」であって、多く借りる方が得をするようなことは制度設計上起きないように作られています。

実際に具体例で見てみましょう。

  • 年収:600万円
  • 金利:0.5%
  • 借入期間:30年
  • ケース①:3,000万円を全て借入
  • ケース②:2,500万円の借入+500万円の頭金
①全て借入 ②一部頭金
総計 2,987.2万円 2,986.6万円
総返済額 3,231万円 2,693万円
減税額 ▲244万円 ▲206万円
頭金 500万円

結果は、一部借入をした方が6,000円総支払額が安い結果となりました。

今回は、30年間0.5%の金利というひじょーーに楽観的なシュミレーションを行いましたが、それでも一部頭金を入れた方が総支払額が少なくなるのです。

仮に上と同じケースで現実的な金利として、金利だけ1.2%に変えると、一部頭金を入れた方が53万円も総支払額が少なくなります。

このように、住宅ローンを多く借りる方が減税効果で得をするというのは間違いなのでご注意ください。

ミホ
ミホ
今は金利も低いし減税制度もあるから、たくさん借りた方が得って私も聞いたわ!
タツヤ
タツヤ
実際、プロである銀行員や住宅販売員の一部も「たくさん借りたほうが得!」と言っているようです。お気をつけください。

Q.ふるさと納税と併用できるの?

結論から書くと、「併用はできるが注意が必要!」です。

税額控除の仕組み

上でもお伝えしましたが、住宅ローン控除制度は、控除額がそのまま所得税または住民税から控除される仕組みになっています。

例えば住宅ローン控除額が20万円で、所得税が30万円の場合、実際の所得税は

30万円-20万円=10万円

になるということです。

ふるさと納税は、住宅ローンと同じように住民税と一部所得税から控除される仕組みになっています。

つまり、住宅ローン控除もふるさと納税も、所得税と住民税から控除される仕組みになっているのです。

そのため、住宅ローン控除とふるさと納税をあわせた額が、所得税と住民税を超える場合、超えた金額については控除ができないのです。

ただ、「住宅ローン控除は主に所得税を控除する仕組み」になっているのに対して、「ふるさと納税は主に住民税を控除する仕組み」になっています。

そのため、住宅ローン控除とふるさと納税は併用しやすい仕組みにはなっています。

  • 住宅ローン控除→主に所得税を控除
  • ふるさと納税→主に住民税を控除

具体的なケースでみてみましょう。

  • 年収600万円
  • 借入額:3,000万円
  • 1年間の住宅ローン控除額:25万円
  • ふるさと納税の控除額:7.7万円

年収600万円で3,000万円の住宅ローンを借りている場合、住宅ローンの控除額は家庭によって異なりますが、ざっくりと25万円です。

また、ふるさと納税の控除額は年収によって異なってきますが、年収600万円の場合、控除額は4.3万円~7.7万円になります。今回は7.7万円で試算します。

※参考:ふるさと納税ポータルサイト

住宅ローン控除とふるさと納税の仕組み

年収600万円の平均的な所得税・住民税額

  • 所得税:20.5万円
  • 住民税:31万円
  • 合計:51.5万円

年収600万円の人の平均的な所得税・住民税額はこのようになっています。そして、この所得税と住民税から住宅ローン控除とふるさと納税を控除すると、実質的な納税額は19.6万円になります。

繰り返しになりますが、自分が支払っている所得税と住民税を超える額は控除できません。住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合は、まずは自分の所得税と住民税がいくらか確認しておきましょう。

以上、住宅ローン控除とは?基本的な仕組みを図解で分かりやすく解説…という話題でした。

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