住宅ローン基礎知識

住宅ローンのペアローンのメリット・デメリットを徹底解説!離婚後の手続きも。

住宅ローンの審査業務の経験がある、元銀行員のタツヤです。

昨今の共働き世帯の増加に伴って、夫だけでローンを組むのではなく、夫婦一緒にローンを組む家庭が増えてきています。

夫婦で一緒に住宅ローンを組むと考えたときに、選択肢となってくるのが「ペアローン」です。

でも、ペアローンって

  • どんなメリット・デメリットがあるの?
  • 万が一離婚したらどうなるの?
  • 今後借り換えを考えるときに、借り換えができるの?

などなど色々疑問点が出てくると思います。

特にペアローンは、審査が通りやすくなったり、二人分の住宅ローン控除が受けられたりとメリットが多いですが、やり方を間違えると多額の贈与税が発生する場合もあるので、注意が必要です。

それでは詳しく見ていきましょう。

ミホ
ミホ
私も収入あるしペアローンにしようかな
タツヤ
タツヤ
共働き世帯だと、メリットも多くオススメですよ!

ペアローンとは

そもそもペアローンとは、なんなのか簡単に解説します。

ペアローンとは

通常、住宅ローンは、夫(妻)一人を契約者にして、一つの住宅ローンを組みます。

それに対して、ペアローンは、夫と妻それぞれが契約者となって、二つの住宅ローンを組みます。

ローンをそれぞれが別々で組むことによって、一人でローンを組むこととは違う様々なメリットやデメリットがあります。

ペアローンのメリット

ペアローンを組むことによるメリットは次の3点です。

  • 審査に通りやすくなる
  • 土地・建物の権利と責任の所在が明確になる
  • 二人分の住宅ローン控除(減税)が受けられる

審査に通りやすくなる

ペアローンを組むと住宅ローンの審査に通りやすくなります。

住宅ローンの審査には様々な指標が使われているのですが、なかでも重要な項目として返済比率があります。ペアローンにすることで、返済比率の指標が改善しますので、審査に通りやすくなります。

返済比率とは、年収に対するローンの年間返済額の割合のことです。

例えば、年収が500万円でローンの年間返済額が100万円だとしたら、返済比率は20%になります。

返済比率は、数値が低いほど家計へのローン負担が軽いということになるので、審査には有利になります。

仮に一人でローンを組むのと、ペアローンにするのとでは、返済比率はこんなにも異なってきます。

  • 年収:500万円
  • 審査金利:4%

※返済比率を求める際は、通常の金利より高い審査金利を使います。

通常のローン

  • 借入額:3,000万円
  • 借入期間:35年

ペアローン

  • 借入額:2,000万円(妻:1,000万円)
  • 借入期間:25年
年間返済額 返済比率
ペアローン 127万円 25.3%
通常ローン 159万円 31.8%

このように、ペアローンにすることで、ローンの返済負担を妻(夫)と分散することができるので、その分、ローンの年間返済額が少なくなります。

年間返済額が少なくなることで、返済比率も抑えられます。

ミホ
ミホ
審査に通りやすくなるのはすごい重要ね!
タツヤ
タツヤ
審査に通りやすくなるだけでなく、借入の限度額も増えますよ!

土地・建物の権利と責任の所在が明確になる

通常、ペアローンを組む場合は、土地・建物の持分比率とローンの返済比率を同じにする必要があります。

例えば、土地・建物の権利を、夫婦で5:5にするのなら、ローンの支払いも5:5にしないといけないということです。

つまり、土地や建物の権利やローンの支払い額を明確に分けることができるのです。夫婦ともに収入があり、「収入に応じて、土地・建物の権利やローンの支払いを平等に分けたい!」と考えている家庭には向いています。

二人分の住宅ローン控除を受けられる

住宅ローン控除とは、「ローン残高の1%分を所得税と住民税から控除できる制度」で、控除は毎年10年間受けることができます。

ただし、住宅ローン控除は所得税と住民税から控除されるので、所得税と住民税を超える額を控除することはできません。

例えば、年末のローン残高の1%が30万円だったとしても、所得税と住民税の合計が25万円だったとしたら、控除額は25万円になるということです。

このように、所得税と住民税の合計額以上にローン控除を受けられる家庭は、ペアローンにすることで、控除額を増やすことができます。

住宅ローン控除額を増やす条件

ただし、どの家庭でもペアローンにすることで住宅ローン控除が増えるわけではありません。

ペアローンにすることで住宅ローン控除が増えるのは、次の条件を満たした家庭のみです。

所得税+住民税(上限13.65万円)< 年末ローン残高の1%

※住民税は最大で13.65万円までしか控除することができません。

※住宅ローン控除の最大額は40万円(認定住宅:50万円)までです。

具体例でみてみましょう。

  • 年末ローン残高:2,950万円
  • 所得税:10万円
  • 住民税:31.5円(13.65万円まで)

所得税+住民税(23.65万円)< ローン残高の1%(29.5万円)

この場合、ローン残高の1%は29.5万円なので、最大29.5万円控除することができます。しかし、所得税と住民税を合わせた額が23.65万円なので、実際には23.65万円しか控除できません。

つまり、差額の5.85万円分の控除が余ってしまっている状態です。この場合、ペアローンにすることで控除を増やすことができます。

ペアローンにして控除が増える借入額の求め方

「所得税と住民税を合わせた額より、年末ローン残高の1%の額の方が多い場合、ペアローンにすることで控除が増えることは分かった。でも具体的に、いくら以上借りたら控除が余るのか具体的な額を知りたい!」

この疑問にもお答えします。求め方は簡単です。

所得税+住民税(上限13.65万円)×100

例えば先程の例で、所得税+住民税の額が23.65万円だったとします、これに100をかけると2,365万円になります。

つまり、この人の場合、所得税と住民税を最大限控除できる借入額は2,365万円になるということです。

2,365万円を超える額については、配偶者に借入してもらうことで、夫婦合わせて最大限の住宅ローン控除を受けることができます。

ミホ
ミホ
住宅ローン控除が増えるのは大きなメリットね!
タツヤ
タツヤ
ただ、借入額が少ない人はペアローンにしても控除が増えない可能性もあるので、ご注意を!
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ペアローンのデメリット

次にペアローンのデメリットについて見てみましょう。デメリットは次の3つです。

  • 諸費用(手数料)が余分にかかる
  • 持分比率と返済比率が異なると贈与税が発生する
  • 夫婦それぞれ団体信用生命保険に入る

諸費用(手数料)が余分にかかる

ペアローンは住宅ローンを二つ契約する方法なので、通常の住宅ローンと比べて事務の取扱いなど余分な手間が発生します。

そのため、通常の住宅ローンより、諸費用や一部税金が多く必要となります。具体的には次の費用が余分に発生することになります。

金額
事務手数料 3~5万円
司法書士への報酬 3~5万円
印紙税 1万円
合計 7~11万円

このように、契約者が一人の場合と比べて、ざっくり7~11万円の諸費用が余分に発生します。ただし、ネット銀行の場合、事務手数料は変わらないところが多いので、余分な諸費用は4~6万円程度になります。

持分比率と返済比率が異なると贈与税が発生する

先程、ペアローンにする場合は、土地・建物の持分比率と、ローンの返済比率を原則として、同じにする必要があるとお伝えしました。

例えば、夫婦で土地・建物の持分比率を半々にする場合、ローンの返済も半々にしないといけないということです。

この持分比率と返済比率を異なった状態で、ローン返済をしていることが税務署にバレると、贈与税を支払わなければいけなくなります。

具体例でみてみましょう。

  • 借入額:3,000万円
  • 持分割合:夫5:妻5
  • 借入比率:夫8:妻2

このケースの場合、妻は土地・建物の権利の50%を持っているので、本来ならローンの50%を支払う必要があります。

にも関わらず、実際は20%しか負担していません。

つまり、妻が本来支払う必要のあるローンの30%分は、夫から資金を贈与してもらっていることになります。

妻が本来支払うべきローン:3,000万円×50%=1,500万円

妻が実際に支払っているローン:3,000万円×20%=600万円

贈与額:1,500万円-600万円=900万円

ちなみに900万円の贈与に対する贈与税は、147万円になります。

贈与税の金額については、贈与の額によって異なってきますので、詳しく知りたい方は次のサイトで計算してみてください。ke!san

ミホ
ミホ
贈与税って結構高いのね!
タツヤ
タツヤ
正直、税務署に知られる可能性は低いのですが、気をつけないといけません!

夫婦それぞれ団体信用生命保険に入る

これに関しては、一概にメリットともデメリットとも言えません。どちらとして受け止めるかは人それぞれです。

そもそも、団体信用生命保険とは、契約者が死亡したり、高度障害状態になって、ローンの支払いができなくなるリスクに備える保険です。

契約者が死亡したりすると、保険会社から保険金が支払われて、ローンを返済する必要がなくなります。

通常、団体信用生命保険は、契約者本人が死亡したり、高度障害状態になった場合にのみ適用されます。

契約者が死亡すると、ローンの残高がゼロになるので、配偶者はローンの返済をする必要がなくなります。その代わり、契約者の配偶者が死んでもローンの残高は変わりません。

それに対して、ペアローンの場合は、二人それぞれが、自分のローンに対する団体信用生命保険に加入することになります。

仮に、自分が死んだら自分のローンの支払いはなくなりますが、配偶者は今までと変わらず自分のローンを返済をしていく必要があります。

ペアローンと連帯債務・連帯保証人の違い

ペアローンは夫婦それぞれが住宅ローンを契約する方法ですが、夫婦二人で住宅ローンを組む方法として、他に二つの方法があります。

  • 連帯債務
  • 連帯保証人

この二つとペアローンは何が違うのか見てみましょう。

ペアローン 連帯債務 連帯保証人
物件の所有権 夫婦 夫婦 夫のみ
契約上の立場(夫) 借入者と妻の連帯保証人 借入者 借入者
契約上の立場(妻) 借入者と夫の連帯保証人 連帯債務者 連帯保証人
住宅ローン控除 夫婦 夫婦 夫のみ
団体信用生命保険 夫婦 夫のみ※ 夫のみ

※通常、連帯債務だと団体信用生命保険の加入は夫のみですが、フラット35など一部の銀行では夫婦で加入する団体信用生命保険を選択できます。

ペアローンと連帯債務を比較

ペアローンが連帯債務より優れている点

  • 夫婦ともに団体信用生命保険に加入できる
  • 物件の持分比率とローンの返済比率をきっちり分けることができる

ペアローンが連帯債務より劣っている点

  • 物件の持分比率とローンの返済比率に差が生じると贈与税を支払う必要がある
  • 二つローンを契約するので諸費用がかかる

ペアローンと連帯保証人を比較

ペアローンが連帯保証人より優れている点

  • 夫婦ともに住宅ローン控除を受けることができる
  • 夫婦ともに団体信用生命保険に加入できる
  • 物件の持分比率とローンの返済比率をきっちり分けることができる

ペアローンが連帯債務より劣っている点

  • 二つローンを契約するので諸費用がかかる
  • 契約者が二人なので契約や管理に手間がかかる
ミホ
ミホ
色々な方法があるのね!
タツヤ
タツヤ
それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分に一番メリットが出る方法を選びましょう!

よくある質問とその答え

産休・育休中でもペアローンは受けられるの?

これは銀行によって対応が異なってきます。できるところもあれば、職場復帰してからでないと審査は受けられないとしている銀行もあります。

仮に審査を受ける場合は、勤務先が発行する「復帰後の年収証明書類」の提出を求められるところが多いです。

ペアローンを組んでいて離婚した場合はどうなるの?

ペアローンを組んでいて離婚した場合、主な選択肢は次の2つになります。

  • 住宅を売却する
  • 夫婦のどちらかが家に住み続ける

住宅を売却する

離婚をして、どちらも家に住み続ける意思がない場合は、住宅を売却することになります。

住宅の売却資金は、当初から取り決めてあった住宅の持分比率に応じて、受け取ることになります。

仮に、持分割合が、夫6妻4だったとしたら、夫は売却資金の6割を受け取るということです。

夫婦のどちらかが家に住み続ける

夫婦のどちらかが、家に住み続ける場合は、基本的に家に住む方がローンを全額負担していくことになります。

仮に夫が家に住み、妻が出ていくとして考えてみましょう。

この場合、一般的には、妻名義のローンを夫名義に借り換えすることになります。

夫:1,000万円

妻:1,000万円

夫:2,000万円

つまり、夫は家に住む権利を持つ代わりに、妻の分のローンも負担していきます。逆に妻は、家に住む権利はなくなりますが、ローンの負担はなくなります。

妻名義のローンを、夫名義に変更する際は、改めてローンの審査が行われます。

仮に、借り換えが認められない場合は、住宅を売却して、お互いの持分比率に応じて売却資金を受け取ることになるのが通常です。

ミホ
ミホ
ペアローンを組むってなると、どうしても離婚のことが頭によぎるわ。。
タツヤ
タツヤ
離婚してややこしいのは、ペアローンでも通常のローンでも同じです。。

ペアローンの借り換えは簡単にできるの?

結論から書くと、ペアローンの借り換えは問題なく行えます。ただし、借り換えの方法によってそれぞれ注意しなければいけない点があります。

ペアローンを借り換えする場合、次の3つのパターンがあるので、それぞれ説明していきます。

  • ペアローンからペアローン
  • ペアローンから単独借入
  • 単独借入からペアローン

ペアローンからペアローン

ペアローンからペアローンへの借り換えは問題なくできるのですが、金利メリットが出にくくなります。

というのも、ペアローンはローンを二つ契約するので、諸費用も二契約分必要になるからです。

一般的に借り換えをする際には、借り換え金額の約2.5%の費用が発生します。

ペアローンの場合はだいたい借り換え金額の4.5%~5%の費用が発生するので、この費用を払ってでも借り換えメリットが出るのか、計算しておく必要があります。

ペアローンから単独借入

ペアローンから単独借入にする場合は、住宅の名義をどうするかによって対応が少し異なってきます。

  • 住宅の名義を共有名義から単独名義に変える
  • 住宅の名義は変えない
住宅の名義を共有名義から単独名義に変える

当初ペアローンでローンを組んでいるので、住宅の名義が夫婦で共有になっています。そのため、通常、単独借入にする際には、住宅の名義を夫(妻)どちらか一人に変更する必要があります。

住宅の名義は変えない

「単独借入にしたいけど、住宅の名義は共有名義のままが良い!」この方法で借り換えするのも可能です。

しかし、この場合、住宅の名義が共有名義のままなので、持分比率に応じてローンを返済していく必要があります。

  • ローン契約者:夫婦
  • 持分比率:夫6妻4
  • ローン返済:夫6妻4

↓借り換え

  • ローン契約者:夫一人
  • 持分比率:夫6妻4
  • ローン返済:夫6妻4

例えば、住宅の持分比率が夫6妻4だったとして、ペアローンから夫単独名義のローンに借り換えしたとします。

この場合、ローンの名義は夫一人になりましたが、妻は住宅の40%を持っているので、以前と同じように、ローンの40%を負担する必要があるということです。

仮に、妻がローンの返済ができなくなったら、夫に贈与税を支払う必要が出てきます。

単独借入からペアローン

ペアローンからペアローンへの借り換えを同じように、借り換え時の費用が二人分発生するので、通常より費用が余分に発生します。

一般的には、借り換え金額の4.5%~5%の費用が発生するので、この費用を払っても借り換えメリットが出るか確認しておく必要があります。

親子でもペアローンは借りられる?

ここまで、夫婦でペアローンを組むことを前提に色々説明してきましたが、親子でも全く問題なくペアローンを組むことができます。

ただし、親子で組む場合は年齢制限に注意してください。

一般的に借入の条件として、契約時の年齢は65歳以下、返済終了時の年齢が79歳以下としているところが多いです。

銀行によって、年齢の条件は少し異なってきますが、審査では年齢が非常に重要視されます。

仮に、契約時年齢や返済終了時の年齢制限には、引っかからなくても、年齢制限ギリギリの場合でもマイナス要素として取られる可能性があります。

ペアローンにおすすめの銀行

じぶん銀行

通常、ペアローンを組む場合、二つのローンを契約するので、費用が余分に発生します。しかし、じぶん銀行の場合、事務手数料が余分に発生しないので、通常より費用が3万円~5万円安くなります。

また二人でローンを組む場合、単独債務と比べて借入金額が少なく済み、借入期間も短くなります。

借入金額が少なく、借入期間が短いほど、支払う利息は少なくなるので、金利が上昇した際の利息増加のリスクは小さくなります。

そのため、ペアローンを組む人は、変動金利で借りることでメリットが出やすくなります。じぶん銀行の変動金利は、業界でもトップクラスの低さなのでオススメです。

じぶん銀行公式サイトはこちら

住信SBIネット銀行

住信SBIネット銀行も、じぶん銀行と同じように、一般的な銀行よりペアローンを組む際に発生する事務手数料が3万円~5万円低く抑えられます。

また、住信SBIネット銀行の変動金利も、じぶん銀行と並んで業界トップクラスの低さです。

住信SBIネット銀行公式サイトはこちら

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